OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)をネットで検索するとネガティブなご意見を目にします。
「OJT 意味がない」
「OJT 放置」
「OJT 向いてない」
現場では何が起こっているのでしょうか?
OJTの中で発生した、トレーナーと新人のコミュニケーションのすれ違い、トレーナー自身の業務負荷増、その業務負荷や新人育成について周りが助けてくれなかった経験は、後々、組織の深刻な問題に発展しかねない要因です。何故なら、その後、自身が担当を外れても同じような環境を作り上げてしまい、組織が負の連鎖に陥ってしまうからです。
OJTには「適切な型」が存在します。科学と臨床の知見がHRD(人材開発)業界には蓄積されており、以下のような理想を掲げることができます。
職能訓練、人材育成として意味のあるOJT
新人とトレーナーに適切なフィードバックとサポートがあるOJT
新人とトレーナーの相性や業務特性に合わせた任命や計画をたてるOJT
こうしたAsis Tobe(現状と、向かいたい理想)のギャップを解消する支援を、研修の形で提供することができます。
そこで、まずは、現状のOJTがどうなっているのか、2つのアプローチに分けて考えます。なぜ「問題のあるOJT」になってしまうのか、今まで自身が関わったOJTはどちらにあたるのか振り返ってみましょう。
OJTの2つのアプローチを「インフォーマルなOJT」と「フォーマルなOJT」と呼びます。言葉の定義は以下です。
意味:非公式で突発的なOJT。分からないことを周囲の先輩に訊いて仕事を覚えていくという風に単発的に教えてもらうやり方。
意味:公式に計画されたOJT。人事担当者や上司から指名されたトレーナー(指導者)が、計画に基づいて、業務を指導するやり方。
OJTという場合、本来「フォーマルなOJT」を指しますが、インフォーマルなOJTとの違いについても理解を深めていただきたいと思います。
「インフォーマルなOJT」は職人文化的ともいえます。
日本に限らず、職人文化は根強く、先人と共に働くそばで、その技術や考え方を「盗む」ように学んでいくやり方が主流でした。小さな組織は、労働力をあてにしていますので、即戦力とはいかないまでも、小分けにされた簡単で確実にこなせる業務に従事することから始まり、覚えたら次の業務へと、段階的にやれる事を増やしていきます。
この場合、弟子の成長は、それを見定める師匠の経験や勘に左右されるため、極めて属人化します。誰に就くかで弟子の成長に差がでます。こうしたことは、現在進行形で起こっていることです。
「フォーマルなOJT」は機械産業文化的ともいえます。
時代は、手工芸から機械による大量生産型へと移り変わり、機械の生産量に適う、均質な能力を持つ人材をもっと効率よく増やす必要性がでてきました。今までは師匠の経験や勘を頼りにした育成でしたが、長らく仕えた弟子達は、その内容は共通化でき、客観的に言語化が可能だと気づきました。
こうして、誰もが効果的に「人を育てられる」手法を研究開発する分野が生まれます。それがHRD(人材開発)の領域です。
「フォーマルなOJT」が優れていて「インフォーマルなOJT」はダメという話ではありません。「インフォーマル」は今後も必要で、計画外の指導が発生するのは当然です。その際に「フォーマル」で学んだ知識や、計画に照らした行動は「問題のあるOJT」を減らす効果が期待できます。具体例は下記です。
トレーナーと新人で強い上下関係の構造があり、意図せずハラスメントが発生しやすくなりますが、これを避ける方法、接し方を学ぶことが「フォーマルなOJT」を取り入れるメリットの一つです。
人事担当者、上司、メンターから積極的に、トレーナーと新人が共通の時間や対話を持てるように促す。
新人は自分の成長した姿を想豫し、トレーナーはその成長を支援する。それぞれが、今後のキャリアにおいて必要とされるゴールを描くことや、トレーナーはマネジメントの初歩を学ぶことができます。
インフォーマルなものからフォーマルなものへと人材育成のニーズは変化しています。「フォーマルなOJT」導入が進んでいない場合、そこには以下のようなハードルがあるかもしれません。
1)理想の人材像が描けない、あるいは、フィットする言葉が見つからない。
2)どのような育成プロセスを経たら理想像に近づくのかわからない。
3)具体的な育成計画書の作成方法がわからない。
4)育成計画を立てても、その通りに進行できない、管理する担当者がいない。
5)育成計画を推進する人事担当者や、指導を担当するトレーナーが孤立している。
6)育成計画の必要性について社内の理解が得られない。
など・・・、これらのハードルを乗り越えるお手伝いを、ノビテクではOJT支援研修としてご提供します。
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