バンダイナムコ×ノビテク ビジネスゲーム研修 DEVELOPER'S VOICE 研修の常識を破った、ゲームメソッドの原点を語ります!

「求められている効果」をより高めるためのメソッド

梅田 : ゲームメソッドって、意味を勘違いされる場合が多いんです。
「あまり面白くないものをゲームっぽくして楽しく見せる」だとか、「難しそうなことをおもちゃっぽくして簡単に見せる」というのはゲームメソッドの理解の仕方として「間違い」です。

例えば研修において言えば、「より身につくこと」「学習効果が高まること」が、本来一番大切なことですよね?そうなるためにどうしたらいいのだろう?それは研修の「やり方」次第、アプローチの方法で変わってくると思うのです。

吉川 : 名刺交換の覚え方を例に挙げましょう。 名刺の交換はこういう形でやりますといったことを講義で行います。講義で終わる研修もたくさんありますよね。だけど講義をしたところで本当に名刺の交換の仕方が覚えられるのか?という疑問をもつ方がたくさんいると思います。「じゃあやらせてみましょう!」と。こうやってやりましょうねーみたいなことを手本を見せて実際にやらせてみる。これで覚えたか?となると、まだ僕らは不十分だと思っている。

そこで名刺交換を極めるための方法論をプロに聞きました。名刺の交換というのはトレーニング。数をこなすってことが重要だということなのです。そういったノウハウをノビテクさんから教えていただくのです。そうか、こなすことが重要なのか、じゃあ数を稼ごう。どうやったら数をこなせられるのだろう・・・?

梅田 : …千本ノックってつらいじゃないですか。 どうやったら楽しく千本ノックができるのか。どうやったら楽しく自主的に嫌々じゃなく出来るのだろうか?継続性をもって出来るだろうか・・・。そういった事に対して、ゲームの作り方のノウハウを入れることで「より楽しく千本ノックがこなせるようになる=名刺交換のトレーニングで最重要な数量達成できる」そういうものがゲームメソッドだと考えています。 ただ単純に、名刺の交換を講義でしてもつまらないから、「ゲームっぽくやればいいよね」という単純な発想ではないのです。

あらゆる分野に導入可能。ゲームメソッドの可能性

梅田 : バリアフリーエンターテイメントマシーンというものがあります。ゲームセンターにあるゲームを改良して介護予防をする、実際具体的には下肢筋力を鍛えるものなんですが、ゲームメソッドを取り入れて作ったことがあります。ゲームセンターにあるワニをたたくゲーム、あれの足でへびを踏む版だと思ってください。

吉川 : もぐら叩きみたいな、ヘビ叩きです(笑)

梅田 : 単純に話を聞くと、ヘビが出てきて足で踏むだけなんでしょっていう風に思われがちなのですが、実は細かなエビデンスのもとで、下肢筋力強化を成り立たせたゲームなんです。九州大学病院の先生との共同開発です。

お年寄りが一番将来の不安に思っていることって歩けなくなることなんです。どんどん足腰は弱ってゆきます。介護予防したい人に対してそれを楽しく安全にトレーニングできるマシーンっていうのが、当時はなかったのです。椅子に普通に座って出てくるものを踏むのですが、座った状態ということは安全が確保されている状態なんですね。

梅田 : おじいちゃんおばあちゃんたちは、継続的にリハビリを毎日やらないといけない。一日でもやめるとすぐに(筋力が)戻ってしまうとされているので、いかに「また明日もやろう」という、気持ちの面で意欲が出せるか?という課題があり、その課題に対してゲームメソッドで解決できないかと考えたわけです。得点が出るっていう単純な仕組みなんですが。「孫がやってるようなもんを、ワシはできん!」みたいな抵抗感があるだろうと懸念もしていたのですが、結果はそうではなく、少しずつ自分の得点が上がっていくということに対して「じゃあまた明日も継続的にやってみよう」という意欲を持たせるきっかけを生み出せました。じゃあどれくらいの得点が表示されることが最良なのか?1個ヘビをたたくと1点上がるのがいいのか、10点上がるのがいいのかっていうディティールにも拘ります。「じいちゃん今日100点だったねっ!」ていうのと「1万5000点とったよねっ!」ていうのとどちらが良いのか。でもこれ1万5000点だからいいってわけじゃないですよ?そういうことまで含めて細かい設計をして、一つの商品に仕上げていくのです。

安全が確保された状態の中で、下肢筋力をトレーニングできるマシーンを作り現在は病院やデイケアのサービスセンター等で使っていただいております。