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  3. NO.16 株式会社カンミ堂 代表取締役 末永 卓 氏

「お金に代えられない価値あるモノを作りたい」
末永卓が語る。

末永 卓 氏
株式会社カンミ堂
代表取締役
末永 卓 氏
Q.今までの経歴を教えてください
末永 卓 氏同志社大学を卒業後、メーカーを希望していた私は、住友スリーエム株式会社に入社しました。学生時代に初めて「ポスト・イット」を手にして感動したことも、住友スリーエムに興味を持った理由のひとつですね。しかし、入社後配属された部署はみんなが知っている「ポスト・イット」や「スコッチ」など文具の部署ではなく、歯科用製品部でした。代理店の営業と一緒に、月10日、1日20件程度、歯科医院に同行営業し、ドクターに材料の説明をする営業の仕事です。ドクターや代理店の方々との関係はじめ、全てが初めての事ばかりでしたから大変勉強になりました。
そして4年半ほど勤務した後、独立を決意しました。住友スリーエムはメーカーですが、アメリカ本社から輸入した商品を売る商社的な側面も多く、入社3年目くらいから、さらにもっとメーカーとして、「モノづくり」が実感できる仕事をしたいと思うようになったのです。そして祖父が始めた「甘美堂」というあんこを作っていた工場と屋号を引き継ぐかたちで印刷加工会社として新たにスタートしました。といっても、印刷加工会社は世の中に山ほどあります。そこで生き抜くためには「独自性」が大切です。そう、私のキーワードの一つに「独自性」があります。印刷加工においても「カンミ堂でしかできないことを!」と考え、ポスターやTシャツなど平面へのプリントは一切行わず、曲面に印刷する方法を工夫することで独自性を見出しました。たとえばボタンやボールへの印刷などです。お陰さまで仕事は順調に伸び、工場も建て替え、新しい機械も導入し、人も採用しました。
私たちのような商売は下請けの仕事がほとんどですが、自社商品を作りたいという思いは常に頭の中にありました。そして7~8年経った頃、「ポスト・イット」からヒントを得て、両面とも粘着性のある付箋「オーキッス」を消費者向けに商品化したのです。しかし企業体力が持たずに残念な結果で終わってしまいました。幸いにもその後、ノベルティーグッズとして欲しいという企業からの要望が多くあり、商品名を「メモピット」と改めて特注品の生産に方向転換することにしました。注文を受けてから生産し、全てが納品できるノベルティーグッズの形態は当社の規模には大変マッチしていました。展示会や紹介などで販路を拡大しました。こちらの事業で採算の見込みが立ったため、それまでのメイン事業であった大阪の印刷工場は思い切って閉めることにし、家族で東京に上京することになりました。最初は住まいの一室を事務所にしてのスタートでしたが、今では別に事務所を構え、5人の従業員がいます。PAGE TOP
Q.今後の目標や予定はありますか?
カンミ堂サービスやコンサルティングをするかもしれませんが、「モノづくり」は必ず続けます。「モノづくり」のやりがいは、やはり自分達の作った商品が世に出ることです。消費者からの喜びの声が聞けたときには、本当に嬉しいですよ。だから今後も続けていきます。
たとえば、マグネットひとつ200円を高いと思うかどうかですが、単なる商品なら高いかもしれません。しかしそこに挟んだ写真や絵で和む「心」であったり、便利になった「時間」であったりを考えたら、お金には代えられないものですよね。このように付加価値の高い商品を今後も作り続けていきたいと思っています。
現在の自社商品は「メモピット」と「どこでもマグネット」ですが、今後は商品が増えたり数が増えたりしていくことでしょう。特に今、商品企画が進んでいるのが「時間管理」に関する商品です。最近の若い人たちは仕事が多く時間管理が大変だなあと思うんです。最近はワークライフバランスなどという言葉もあるし、遠い将来のビジョンを考えることも大事ですが、その前に今日一日をいかに有意義に過ごすかも大切だと思います。ダラダラと仕事をして残業するようではいけません。若い人たちの時間に関する意識を変革させるような商品を作りたいと考えています。楽しみにしていてください。PAGE TOP
Q.最後に若者にひと言お願いします。
「時間は有限だ」と言うことを強く意識していただきたい。一日の時間は24時間だし、寿命も決まっている。だから「今、自分はどこにいるのか」を意識すること。
私はその考え方を学生時代からのラグビーで身につけました。ラグビーの試合は前半40分、後半40分で必ずノーサイドを迎えます。だから試合中は常に「今は前半のどの辺だ」とか「後半もそろそろ終わりだ」とか考えながらその時できるベストのプレーを選択しているわけです。
私の人生はラグビーの試合なら後半が始まったところです。新人の皆様でしたらまだ前半でしょう。是非人生のノーサイドも良い形で迎えられるよう考えてください。そのためには遠い目標も大切ですが、まずはその日その日を充実させることです。毎日が勝負です。毎日の充実が仕事の楽しさにつながるのではないでしょうか。
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